基本講座

健康に関する研究データのすごい見方!

皆さんは、よく「ビタミンB1を1日〇〇mg飲んだ結果、〇〇が20%も上がりました。このデータは、年齢、体重、遺伝的要素などを加味して調整しています」とか「ストレッチを15秒した場合と30秒した場合を比較しました」みたいな論文がもっともらしく紹介されているのを見たことがあると思います。

でも、これらっていうのは、大事なことが書いていないことが、本当によくありますので、注意してください。

これをチェックせずに、このデータを信頼することは、私にはできません。

チェックポイントは単純!

それは、例えば、栄養だったら「ビタミンB1を含む食事をどれだけ同じ条件にしたか」です。すなわち、食事からとられるビタミンB1の量が同じでなかったら、全く意味のないデータです。だって、食事からがっつりビタミンB1を摂取している人と、食事から全くビタミンB1を摂取していない人をごちゃまぜにしてデータを出すなんてことは、まさか科学者がやるとは思いませんが、まぁ、サプリメント企業のための研究だとしたら、やるかもしれませんね。なにせ、医者っていうのは、お金が大好・・・ゲホゲホ。

ストレッチだったら、日常生活での運動はおろか、動きを同じに制限しないと比較するのは難しいですよね。普通に入院してもらって、体重も筋肉量も同じ人を選んで、トイレに行くタイミングも同じ、寝ているときの動きも同じにしていないと比較って、難しいですよね。寝ている間に無意識に腕を伸ばしている人もいれば、腕を縮めている人もいますから、ストレッチを15秒と30秒で比較するって、難しいです。

つまりは、論文考察にコレが書いてないことが多い!

例えば、「ビタミンB1のサプリメントの効果を比較するのに、食事を全く無視していたり」、「ストレッチの効果を比較するのに、日常の身体の動きをそろえていなかったり」して、物事を語っていることに無理があります。下手すると、ビタミンB1のサプリを飲んだ人には、もっと栄養の豊富な食事を食べてもらって、ビタミンB1のサプリを飲んでない人には栄養の貧弱な食事を与えて比較に協力してもらうなんてことも可能です。

つまりは、年齢とか体重とか、遺伝的要素とかどうでもよくて、もっと大事な「他の食事や身体活動から、そのビタミンやストレッチが加わっている可能性を排除しているかどうか、が重要なんです。

それなのに、そのことを明記していないデータがいかに多いことか。ただでさえ、直接的でなくても複雑に影響しあうのが身体の不思議なのに、ビタミンB1は同じだけど糖質量が大きく違うとか(ビタミンB1は糖質を代謝するのにかかわっていると言われています)、ストレッチ量は同じだけど、室温が寒い地域と熱い地域といろいろと偏っているとか、もう本当に大事な条件をそろえてくれよ!と言いたくなるものをしばしば目にします。

もし、コレだったら私も納得します!

サプリメントで食事では絶対摂取できないような大量なものが含まれているとか、運動で日常生活では絶対に届かないような動きをしているとかであれば、それは、まぁ、日常生活の分は無視していいくらい小さいと評価することは可能かもしれませんが、ビタミンとかストレッチ何秒とか、そういう繊細なものを検討するのであれば、「どれほど注意して、これくらいの精度で揃えました」ということは知りたいところです。

数が多くなれば、そういう背景条件は収束して揃ってくるというのであれば、年齢や体重で調整した意味がわかりません。

大事なのは一般論のデータではなく「あなた」

一般論で、ビタミンB1のサプリが身体に悪影響を及ぼすとしても、大事なのは「あなたにどんな影響があるか」です。90%の人がガンになった、残りの10%の人はガンになっていないというデータがあったとすれば、あなたがどちらになるのかは全くわかりません。

ただ、言えるのは「そういうデータがあるサプリを自分で試す価値があるかどうか」よくよく考えることです。ビタミンB1欠乏症が疑われるのであれば、医療機関を受診すべきでサプリを飲むのは危険です。ストレッチを15秒するのか、30秒するのか、それくらいなら、自分で試して結論を出せばいいのではないでしょうか。

あなたに必要なものだとしても、その根拠をよくよく見て「おかしいな」と思える感度をどんどん高めていきましょう。

そのためには「一番大事なものは何か?」に意識を払うクセをつける以外にありません。他人の言いなりでは、商業主義の餌食となって、一生、不要なものを買い続けることになるでしょう。そうならないためにも、あなたの判断を助ける情報をこれからも提供していきたいと思います。

なお、あくまで、これは私の個人の考えであり、保証するものではありません。判断するのは、あなたです。